漢方薬は冷え性改善におすすめ?本当に効果は期待できるのか

冷え性のメカニズムはほぼ解明されていて、根本治療に適している方法として漢方薬治療が注目されています。日本でも成人女性の7割近くが冷え性に悩んでいると言われており、女性にとっては美容・健康の大敵でもあります。

今回は、本当に東洋医学・漢方治療で冷え性が改善されるかどうかについて、徹底的に検証してみます。

冷えは万病のもと

東洋医学では古くから体の冷えが病気を生むということが分かっていました。また最近のがん研究では、実践的な臨床研究からがん発病者のほとんどが基礎体温36度以下であったことも確認されています。がん細胞はすべての人に毎日何十個も発生していて、それを免疫細胞がこまめに処理しているといいます。

免疫細胞は体温が十分に高ければ活性化しますので、ちょっとぐらいがん細胞が生まれても健康な体であれば心配はいらないのです。

その他の生活習慣病に関しても、多くは血行不良などからくる体の冷えがきっかけになっているとされ、基礎体温の低い方は不健康な状態になりやすいことが分かっています。

冷え性に対して漢方がおすすめな理由

まずはっきりとさせておきたいのが、西洋医学には冷え性という症状はありません。ですから冷え性を改善する薬というものもありません。もちろん体を温める作用を持った西洋薬は存在しますが、冷え性と診断されてそれが処方されることはないということです。

ですが、冷え性は間違いなく深刻な疾患です。冷え性の原因が血行不良や骨格のゆがみ、新陳代謝・エネルギー代謝の低下の場合に、何よりも体質の改善をしなければ根本的な改善は期待できません。そのために西洋薬を飲んだり、手術をしたり、熱線や放射線を浴びたりしても、それは一時的な対処治療でしかないのです。つまり効果が切れれば、また冷え性がぶり返します。

そうではなくて、劣化した血管を全面的に修復し、ある程度は筋肉量を増やして、時間こそかかりますが自己の体力でしっかりと血行改善をすることが望ましいのです。そのために食習慣や睡眠の習慣を見直す必要があります。特に食習慣は肝心です。血管の本来の機能を取り戻すためには、材料となるアミノ酸やビタミン・ミネラルが必須です。

材料がなければ血管の修復は不可能です。漢方薬はその材料を食べていることと同じで、材料自体の品質が優れているために、すぐに『血となり・肉となる』のが漢方の特徴というわけです。

体質にあわせた漢方を処方してもらうことが肝心!

一言で冷え性と言っても、症状や原因は様々です。また個人差もあって、どの漢方薬が自分に合っているかの判断は難しいです。もちろん専門家の方でも、一発で処方が決まらない事はよくあります。

また漢方薬治療では、その効果がすぐに表れるということがありません。体質改善を進めながら症状に変化が表れてくるのが漢方薬の特徴で、服用を始めてから3か月や半年間はじっくり継続するようにしましょう。その経過を診察してもらいながら、自分の体に合っているかどうか判断することが良策でしょう。

あなたの冷え性のタイプは何?

体が冷える原因にはいくつかタイプがあります。まず、冷え性になっている根本原因を理解することが先決です。それによって服用する漢方薬が違ってくるからです。漢方治療では病気の根源を「気・血・水」と3つの要因から捉え、それぞれ処方される漢方薬が違います。

血虚による冷え性

このタイプの冷え性は、主に手や足のつま先部分が冷たくなる症状です。女性であれば生理に乱れが目立ち、生理痛もひどい方が多いです。また肩こりや頭痛に悩んでいるケースが多く、その原因は血行不良となります。

このタイプの人は体のあちこちにアザやシミができやすく、肩・首の凝りが顕著です。また目のクマが目立つとか、生理の下血にレバー状の血塊が混ざることがあります。

この症状におすすめの漢方薬は、血行を改善する効果が高い生薬・漢方薬となります。例えば、桂皮や甘草や生姜を主成分とした当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)が適当でしょう。頭痛や生理痛の緩和効果もあり、手足を温めてくれる漢方です。

また、生理痛が酷い方や下半身が冷えやすいタイプは桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)がおすすめで、イライラ感や便秘のタイプには桃核承気湯(とうかくじょうきとう)で冷え性を改善しましょう。

気虚(ききょ)による冷え性

慢性疲労やストレスによる落ち込みで元気がでないタイプの方が冷え性の場合は、エネルギー代謝の不足による気虚が考えられます。東洋医学では気の流れは血液やリンパ液の循環に欠かせないとして、このために冷え性が生じる場合があります。

このタイプの方は冷え性とともに、疲労度が強いとか食欲不振がみられます。また運動嫌いの方もそうですし、免疫力が低下している方も当てはまります。

気虚の方へおすすめの漢方は、胃腸の働きを高めて消化吸収率をアップさせる補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が適しています。食欲のない方にもおすすめです。また同様の効果を持つ人参湯(にんじんとう)や、疲れやすくて貧血気味の方なら六君子湯(りっくんしとう)もあります。

水滞(すいたい)による冷え性

下腹部や腰あたりが冷えていて、夏場でも厚着をしたくなる方はこのタイプです。またトイレの頻度が多いとか下痢をしやすい方の冷え性もそうです。これは体中の水分が循環せずに、よどんだ状態で冷却される症状と言えます。つまりリンパや血液の流れの悪化が主な原因です。

このタイプの方には、腹痛が頻繁に生じたり、胃腸がチャポチャポいう場合もあります。また手や足や顔のむくみが良く起こる方、いつも気怠い感じがする方もそうです。

水滞の冷え性におすすめの漢方は、水分代謝を高めデトックス効果のある五苓散(ごれいさん)や、胃弱や免疫力低下や全身の冷えを改善する真武湯(しんぶとう)などがあります。

漢方治療と平行に行える冷えよう改善術

あなたの症状に合わせた漢方を処方してもらったら、今度はご自分のライフスタイルを見直してみましょう。まず食事面からですが、日本の食習慣では炭水化物や糖分の摂取過多が多くみられます。レトルトやインスタント、コンビニ弁当などの加工食品には大量の小麦粉やスターチ、でんぷんが使用されていて、このために血糖値が高くなるのです。

また加工食品には化学合成の添加物も大量に使われています。この体内分解が難しい成分が代謝を阻害して冷え性を助長させています。これらをできる限り控えるようにし、良質のタンパク質をその分増やすと良いでしょう。

身体を冷やさない服を着るようにします。エアコンの効いた屋内で仕事をしている方は、下半身を冷やさないように注意しましょう。ファッションも大事ですが、冷え性を進行させるのは問題です。

暖かい飲み物でたっぷりと水分補給をしましょう。血液やリンパ液の流れを高めますし、デトックス効果もあります。冷え性の方なら1日に2L以上を必ず飲むようにしましょう。

睡眠も重要です。副交感神経の活性化は血管修復に欠かせませんし、細胞分裂の時間でもあります。規則正しい睡眠習慣が健康の基礎となります。

まとめ

漢方薬は良質な健康食だということができます。体が自己治癒力を発揮するサポートをする薬であり、体の組織・細胞をつくる材料でもあります。だからこそ根本治療だといえるのでしょう。

冷え性は多くの中高年の方々が苦しんでいる疾患です。できれば、対処療法ではなく、根本から、自分の力でしっかりと直していくことが好ましいでしょう。